今回のご依頼は、留袖比翼の染み抜きです。
長期保管されているうちに、柄の金加工に使われる糊の成分が原因で、打ち合いしていた比翼にくっきりと柄の形で黒カビが生えてしまっています。
作業工程
- 揮発性の油性溶剤で、シミ部分と上前の柄の周りを濯ぎ処理。
まずは油性の処理です。
シミの箇所はもちろんの事、シミの原因となった柄の周りにももちろんカビが潜んでいる可能性がありますので、しっかりと濯ぎます。 - 水性処理
次に液体せっけんと浄水を使い水性処理。
この工程で出来るだけ汚れを落としていきます。 - 錆び取り
金加工の真鍮成分で錆も発生していたのか、緑青(青錆)もありましたので薬品を使い錆び取りも行います。 - 漂白
黒カビは生地にカビが付着した後、生地に根を張り、さらに黒く変色を引き起こしたものです。
こうなると普通のカビ取り作業ではカビは除去できても、変色した黒い部分は残ります。
ですから、黒い部分を完全に除去するには漂白作業が必要となります。
このような作業工程で今回は黒カビを染み抜きしていきました。
今回の染み抜き箇所は留袖比翼の中でも、着用時に見える場所では無いので、お客様とご相談の上、丸洗い料金の中で着用時に目立たないよう染み抜きをさせて頂きました。
当店では、丸洗い料金だけで今回のような染み抜き作業もさせて頂く事も多数ございます。
「染み抜きもすると料金が高くなるのでは?」と思われたお客様も一度お見積りに出されてみてはいかがでしょうか?