保管中のカビ・黄変・変色と虫干しについて

「久しぶりに着物をタンスから出したら、シミがあった。」

 

保管中に黄変の生じた女児一つ身。

着物を持って来られた際そうおっしゃる御客様が多いのですが、「虫干し」をご存知でしょうか?
着物を保管する上で欠かせない「虫干し」とは、タンスの中にしまっている着物を出して、ハンガーに掛けて陰干しすることです。

保管中の着物に生じる黄変・カビの原因は湿気であることが多いのですが、カビは室温20~30℃で、湿度が60~85%の状態が発生しやすく、発生したカビ・黄変をそのまま放置すれば変色・色褪せへと繋がります。
そんな湿気を着物から取り除くために行うのが虫干しです。
着用時に気づかなかった汚れや傷みの点検にもなり、ご家庭でできる最適なお手入れなのです。
一度にすべてを干そうと思うと大変なので、日を分けて少しずつ行いましょう。

気をつけるのは、雨が降った翌日はNG。
前日までの湿気を空気がまだ含んでいるので、虫干しには適当と言えません。
最低でも2~3日晴天が続いた後の日に、虫干しを行いましょう。
時間帯は、午前10時~午後3時の間が好ましいです。
ハンガーは着物専用でなくても構いませんが、洋服用ハンガーの場合、ハンガー痕が残りやすいので注意しましょう。
干す際の直射日光は必ず避けてください。色やけの原因となります。

そして、ハンカチなどで軽く叩き、埃などを取り除き、汚れをチェックします。
もしも、この時すでに黄変などがあれば、早期のお手入れ・染み抜きが必要ですので、ご相談ください。

当店でしみ抜きをしたビフォーアフターです。
早期に、黄変しみの生じた箇所に漂白処理を施すことで、きれいにする事ができます。
作業後に着物を裏返して干し、胴裏・八掛もチェックしてください。
干してから3,4時間後、畳んで「たとう紙」に入れて完了となります。
必ず、その日干した着物はその日のうちに片付けましょう。
色が変わってしまっている「たとう紙」は交換してください。
たとう紙は埃や湿気から着物を守りますが、古くなると、逆に変色などの原因となります。

このような作業を最低でも年に2回、できれば4回は行ってください。
時期は梅雨の明けた7月末から8月や秋晴れが続く10月頃。
空気の乾燥した2月から3月頃が最適と言われています。

面倒ではありますが、しっかり行っていると、いざ使用するときに・・・なんてことにはなりません。
大事な着物を次の世代に継ぐために、ぜひチャレンジしてみてください。

それでも、やっぱり面倒!という方には、当店でお勧めする酸化防止の「シルクパック」というものがございます。
シルクパックは、密閉状態の専用パックに窒素ガスを入れることで、タンスの中で重なって、着物がしわになりにくいと同時に、酸化を防ぎ、外気の影響を受けません。
酸素に触れないので、黄変などの心配がなく、虫干しの必要もありません。

詳しい内容が知りたい方は、是非お問い合わせください。

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