熨斗目(のしめ)について

この季節になると当店では一つ身や四つ身のお着物を頻繁にお預かりいたします。
このような子供の着物や結婚式で花嫁が着用する打掛には「熨斗目」(のしめ)という柄がたびたび使われるのですが、恥ずかしながら私は「熨斗目」が一体何なのか知りませんでした。
今回はそんな私が個人的に熨斗目について調べた事をご紹介しようと思います。

まず、皆さん熨斗(のし)と聞いて何を思い浮かべますか?
ほとんどの方は人にお礼お祝いで物を贈る時に包装の外側に「熨斗を付ける」と言って、リボンのような柄が書いてある紙を貼りますよね?
あの紙の事を熨斗だと思っている人が多いのではないのでしょうか。
実際に私も熨斗とはあの紙の事だと調べるまで思っておりましたが、実は違うのです。
熨斗紙と呼ばれるあの紙の右上に描かれている筒のような物、あれが熨斗なのです。
ですが熨斗紙自体がすでに簡略化されたもので、実際には干して伸ばしたアワビの事だそうです。
結婚する際に執り行われる結納で送られる品の一つで、日本ではアワビは長寿を象徴する縁起の良い食べ物とされているそうです。
そして、熨斗を束ねた物こそ熨斗目なのです。
熨斗は、現在でも結納品を代表する縁起物だそうですので、熨斗目文様も縁起の良い柄としてお祝いの衣装に多く使われている柄だったのです。
実際の熨斗目柄は熨斗の部分のデザインが花など豪華絢爛なデザインへと変更されていますので、アワビと聞いてびっくりです。

そして、調べていくと実は同じ「熨斗目」という漢字で、もう一つ違う柄が存在する事が分かりました。

もう一つの熨斗目は江戸時代に、武士が小袖の生地として用いた絹織物の事だそうです。練貫という織物で、縦糸に生糸、横糸に練り糸を用いた平織りの絹織物です。熨斗目は、士分以上の者が礼服として、大紋、素襖、麻裃の下に着用しました。その小袖が、袖の下部と腰の辺りの色を変えたり、その部分に格子縞や横縞を織り出したりしたものを腰替りといい、やがて腰と袖裾の変わり織りのデザインを表すようになりました。
熨斗目はまた、能装束や狂言装束のひとつでもあり、身分の高くない役の小袖に使用され紋はつけません。藍や白、茶などの横段のある段熨斗目や紺無地の無地熨斗目、全体が格子柄の縞熨斗目の三種があり、縞熨斗目は狂言方でのみ使用されます。

腰の辺りに段模様を配した、腰替わりである熨斗目は、現在ではお宮参りや七五三の男児の祝い着に多く用いられるデザインとなっています。

このように「熨斗目」には二つの意味がありましたが、どちらの「熨斗目」も子供の祝い着のデザインに繋がっていてびっくりでした。

今回のように気になったデザインや紋があれば調べて、当ブログで紹介しようと思います。

 

 

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