帯地黄変のしみ抜きと加工
Before

今回は、帯のカビや黄変のしみ抜きと加工をした際のお話です。
ご依頼の品物は袋帯。

行った処理は
・油性処理(ドライクリーニングなど)
・水性処理(清水による濯ぎ処理)
・漂白処理
・白い樹脂をスプレーで生地表面に吹き付け加工
・金粉銀粉を練りこんだ樹脂をスプレーで生地表面に吹き付ける加工  です。

まず油性水性の処理により、黄変の原因となった汚れを取り除きます。
汚れを取り除いたとしても黄色く黄変した生地は元通りにはなりませんが、根本的な原因は無くなるので、今以上にしみが広がったりすることはありません。

そして漂白ですが、なぜ漂白だけではなく加工処理を施したのかというと、帯地の多く(特に袋帯の生地など)は光沢があってキラキラしている豪華絢爛な物が多いですよね。
なぜキラキラしているかというと、金糸や銀糸が織り込まれているのです。
そして、その金糸や銀糸があることで帯地の漂白は困難なのです。

金糸・銀糸は金色や銀色のフィルムを紙に貼り付けたものを細く糸のように割いた物で、その紙を糸と一緒に生地に織り込んで出来ています。
この紙の部分が、生地を漂白したときにフィルム部分が無くなってしまい黒くなります。

このようなことから帯地を漂白することは困難です。
金銀が黒くならないように漂白は出来ますが、今回の依頼品は黄変の度合いがきつく、生地に影響を及ぼさずに完全に取りきることは出来ません。
ですが、しみの上から加工処理を施すことで着用時にしみが目立たなくなり、しみ抜き不可能な品物でもまた着用することが出来るようになります。

ですので、しみがひどいからと諦めずに是非当店にお持ちください!

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