着物と汗について・・・

つるや本店でございます。

大切なお着物を長く美しくお召しいただくために、「汗」との付き合い方は非常に重要なポイントです。

汗は目に見えないため、ついつい後回しにしがちですが、実は着物にとって「サイレント・キラー(静かなる暗殺者)」とも言える存在です。

皆様に分かりやすく、そのメカニズムとリスクを解説いたします。

1. 汗が着物に付着するメカニズム
「冬だし、そんなに汗をかいていないから大丈夫」と思われがちですが、実はお着物の構造上、汗は確実に蓄積されます。

・多層構造による蒸れ
お着物は、肌着、長襦袢、着物、そして帯と、何枚もの布を重ねて着込みます。これにより体温が逃げにくく、内部はサウナのような状態になりやすいため、自覚がなくても皮膚からは常に水分(蒸気)が放出されています。

・毛細管現象(吸い上げ)
肌着で吸収しきれなかった水分や塩分は、毛細管現象によって長襦袢を通り抜け、表地の絹(シルク)へと吸い上げられます。特に脇、背中、帯周りは、密着度が高いため、直接的に汗が移りやすいポイントです。

・「見えない」恐怖
汗の成分の99%は水分ですが、残りの1%に塩分、尿素、ミネラル、皮脂などが含まれています。水分が蒸発すると、これらの成分だけが繊維の奥に濃縮されて残ります。

2. 汗しみを放置して保管するデメリット
「見た目が綺麗だからそのままタンスへ」……これが最も危険です。汗汚れは時間が経つほど牙を剥きます。

デメリットと影響
黄変(おうへん)は 汗に含まれる成分が空気中の酸素と反応して酸化します。数ヶ月〜数年後、突然「茶色いシミ」となって浮き出てきます。これは汚れではなく「変色」なので、通常の丸洗い作業では落ちません。

カビの発生 汗の成分(タンパク質やミネラル)はカビの大好物です。湿気を含んだ状態で保管すると、カビの繁殖を助長し、独特の臭いや白い斑点の原因になります。

生地の脆化(ぜいか) 絹はタンパク質でできています。汗の塩分や酸が長時間付着し続けると、繊維そのものを傷め、生地が弱くなって破れやすくなります。

3. つるや本店からのアドバイス
一般的な「丸洗い(ドライクリーニング)」は、油性の汚れ(皮脂やファンデーション)には強いですが、水溶性の汚れである汗を落とす力はほとんどありません。当店ではドライクリーニングをおこなった後に、すべてのお着物に汗抜き処理をおこなっております。

お召しになった後は、以下のステップをおすすめします。

・陰干し: 風通しの良い場所で数時間干し、こもった湿気を飛ばす。

・汗抜き加工: シーズン終わりや、たくさん歩いた後は、当店で「汗抜き(水を用いた特殊洗浄)」をご依頼ください。

ポイント:
「まだ綺麗だから」という過信が、数年後の高額なシミ抜き代につながってしまいます。早めのケアが、結果としてお着物を最も安く、美しく維持する秘訣です。

大切なお着物を次世代へ繋ぐお手伝いができれば幸いです。

最後にお伺いしたいのですが、今お手元にあるお着物で、特に「ここが怪しい」と気になっている箇所(脇や帯下など)はございませんか?

当店では点検や見積りを無料で行なっておりますので気になるお着物がございましたら
御相談ください。

わからないことがございましたら何なりと「つるや本店」まで電話やメールにてどうぞお問い合わせ下さい。

 

電話 078-361-0932

メール info@shiminuki110.co.jp

 

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