格安きものクリーニングと水洗いについて【前編】
Before

今回の依頼も生地の変褪色です。
前回記事にしたものは、クリーニング後の保管時に日光に当たる部分が変褪色を起こしていましたが、今回は胸・脇の部分にできた汗が原因の変褪色です。

脱色した部分を、油性、水性のすすぎ処理をおこない、色掛けをしています。

こちらをお持ちになったお客様、実は前回着用後に一度クリーニングに出されていました。
にもかかわらず、生地が変褪色していたのです。
原因は「ドライクリーニング」しかしていなかった事です。
ドライクリーニングは油溶性の汚れを落とすことには長けていますが、汗のような水溶性の汚れを落とす力は基本的にありません。
巷では「丸洗い3000円!」などの格安着物クリーニングが存在しますが、この価格帯のものはドライクリーニングのみの場合がほとんどです。
(もし気になった場合には店舗で確認してみてください。クリーニング内容に水洗いが含まれているのか、ドライクリーニングだけなのか教えてくれますよ。)

何度も着用した後や、衣替えなど、着用後の長期保管前にドライクリーニングだけで済ませてしまうと、汗をかいた所や水溶性の汚れが残り、今回のように変褪色してしまいます。
ドライクリーニングが悪いわけではなく、衿の皮脂汚れやファンデーション、口紅など化粧品汚れ、食べこぼしなどの油汚れはドライクリーニングで落とせます。
要は使い分けなのです。もちろんドライクリーニングせずに置いていると、黄変や変褪色する汚れだってたくさんあるのです。
保管中の変色や脱色を防ぐためには、毎回とは言いませんので、長期保管前には必ずドライクリーニングと合わせて水を使った着物クリーニングがおすすめです。

ですが、着物は本来であれば洗うたびに一度ほどき、反物の形に縫い合わせて水洗いをおこなうのが「洗い張り」ですが、毎回洗い張りしていると、ほどき代、縫い合わせ代、洗い張り代、仕立て代と、かなり費用が掛かります。

そんな中、当店でおすすめしているのは
「水を使った着物クリーニング処理(丸洗い)」なんです。

次回へつづく・・・・・

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