格安きものクリーニングと水洗いについて【後編】

当店では、ドライクリーニングのみのコースを生洗いと言います。
生洗いとは、着物をほどかずに、着用できる形のまま洗う方法です。
当店の丸洗いとは、「生洗い+水を使った着物クリーニング処理」です。
前記事で説明した洗い張りだと費用も高くなりますが、当店の丸洗いは部分的に汗をかいている場所に水を使った濯ぎ処理を施すことで、洗い張りよりもリーズナブルで水溶性の汚れを落とす洗いが可能なのです。

ですが、やはり水を使った処理を行うと、正絹の生地が縮んでしまいます。
しかし当店では、仕上げの際に縮んだ生地を特殊技術で元の寸法に伸ばし、形を整え、仕立て上がりのような寸法と風合いになるよう一点一点すべて手仕上げをしています。
こういった技術を用いる事で、水を使った洗い(着物クリーニング)が可能なのです。
(ドライクリーニングでは生地が縮まず、しわにもならないので仕上げがほとんどいりません!これが値段の安いお店の仕組みなのです。)

確かに着物丸洗い3000円は魅力的です。「丸洗い」と書かれていると全て綺麗になった気持ちにもなります。
ですが、大切な着物の価値は購入されたときの価値や思い出、受け継いだ親、親族の伝統など計り知れないものでしょう。
大切な着物を守るためにも「長期保管前には、ぜひ水を使用した丸洗い(着物クリーニング)を、衣替えまでにまだ着用予定のある場合は一旦ドライクリーニングだけでも」としっかり使い分けましょう。

【まとめ】

「ドライクリーニング」

◆ メリット

  • 油溶性の汚れを落とす力がある。
  • 機械処理でも生地が傷みにくい。
  • 縮みが発生しないので仕上げが楽。
  • 値段が安い。

◆ デメリット

  • 水溶性の汚れを落とす力はほとんどない。

 

「水洗い(水を使った処理)」

◆ メリット

  • 水溶性の汚れを落とす力がある。
  • ドライクリーニングに比べて洗い上がりのさっぱり感が違う。
  • 汚れ落ちが良い。

◆ デメリット

  • 油溶性の汚れが落ちにくい。
  • スレが出やすいのでデリケートな生地に向かない(機械処理の場合)。
  • 縮みが発生する。
  • 仕上げが大変。(値段が高くなる一番の理由)。
  • 値段が高い。

こうして見てみると「水洗い処理」にはデメリットが多いように感じるかもしれませんが、実はメリットのほうが大きいのです。
特に汚れ落ちに関しては「ドライクリーニング」とは全然違います。

やはり「ドライクリーニング」+「水洗い処理」のダブル処理がお着物には最適で最高の処理方法といえるでしょう・・・。

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